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以下の文面は天木真人氏のブログ引用です。

 

4月8日の毎日新聞に滝野隆浩という記者の書いた「自衛隊60年の『苦悩』」と題する特集記事がある。集団的自衛権行使容認の閣議決定が当然視される中で、自衛隊のあり方をあらためて考えてみようとする記事が最近増えてきた感がするが、この記事もその一つに違いない。

その記事の中で次のような吉田茂の言葉が引用されていた。

これは1957年、防衛大学一期生卒業式における吉田茂の訓示の一節と伝えられているが、実際は卒業アルバム作製に関わった三人の防大生を大磯の自宅に呼んだ際、問わず語りに述べたものだという。

「君たちは自衛隊在職中決して国民から感謝されたり、歓迎されたりすることなく自衛隊を終わるかもしれない。非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労な事だと思う。しかし、自衛隊が国民から歓迎され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の危機にある時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮している時だけなのだ。言葉を言い換えれば君たちが日陰者である時の方が、国民や日本は幸せなのだ。忍び耐えてもらいたい・・・」

それから67年たって状況は変わった。もはや自衛隊は日陰者ではなく、それどころか社会党出身の首相がその存在を認め、さらに解釈改憲で国軍にまで昇格されようとしている。格差社会が進む一方の世の中で、いまや人もうらやむ国家公務員として身分保障される花形職業だ。

しかし吉田茂がいみじくも指摘した、自衛隊が必要とされる時は国民が危機にさらされる時であるという真実は、そのまま今日に生きている。そしてこの事について、かつて週刊誌の記事に見つけた退職前の人の自衛官の言葉がいま鮮やかに記憶に蘇る。

それはイラク戦争でサマワに赴任する若い自衛官が特別手当をもらって居酒屋で意気軒昂に大騒ぎをしていた傍で、定年間際の自衛官がそれをいさめてつぶやいたという次の言葉だ。

自分はついに在職中に海外の戦地に一度も赴くことなく自衛官を終える。しかしそんな自分を誇らしく思うと。

吉田茂の語った言葉が半分は正しい。しかし吉田茂は、自衛官に対し、忍び耐えろと言う代わりに、この自衛官のように誇りに思えと言うべきだった。おりから石破茂自民党幹事長は、ついに自衛隊員に覚悟を迫るがごとき発言をするようになった。果たして今の自衛官は安倍首相の進める集団的自衛権行使容認とその先にある自衛隊についてどう考えているのだろうか。日本のために、あるいは米国のために、殺し、殺される事を覚悟する

のか。戦争のないまま終わる事を誇りに思えるのか。それとも都合にいい時だけ憲法9条を持ち出し、憲法9条に守られながら、権限だけをむさぼる官僚のような自衛官になっているのだろうか。自衛官もまた問われている。

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